アメリカを代表する時計メーカー、「ハミルトン」。
創業は1892年で、創業翌年に作られた「ブロードウェイリミテッド」という懐中時計が、時間の正確さを求めていた鉄道会社に採用され、それがステップとなり鉄道時計メーカーとして地位を確立していきました。
今回お買取の時計は、「イリノイ」という時計メーカーが、「ハミルトン」に買収されたあと、短期間だけ製造された、レアな時計です。
ハミルトンとイリノイのダブルネーム時計の買取
この「イリノイ」という時計メーカーは、1870年に設立された歴史の古い時計メーカーの1つ。
懐中時計メーカーとしてその名前を知られ、1926年に創業者が亡くなりますが、その死後のすぐともいえる2年後、1928年になってハミルトンに買収されてしまいます。
買収された後もブランドと工場は残り「イリノイ」として時計の製造を続けますが、1929年から起こった世界恐慌の拡大によって、1932年ハミルトンはイリノイのムーブメントにも刻まれている「イリノイ」の象徴ともいえるSpringfield工場を閉鎖。
実質的なイリノイの歴史に幕を閉じます。
この時計のディテールとムーブメント
1939年までハミルトンによって「イリノイ」として時計は作り続けられましたが、その短期間の間に作られた時計の一つが、今回お売りいただきましたこちらの時計なんです。
文字盤には、イリノイとハミルトンの両方の社名が入っています。
美しいゴールドメッキのケースに、ぷっくりと膨れ上がったドーム型風防、さらに、アップライトインデックスとゴールドの針が、アンティーク感満載で、美しい小ぶりな時計です。
裏ブタはサテン仕上げのステンレス製。
ここにもイリノイのロゴがしっかりと入っています。
ベルトストラップは社外品と思われますが、こちらもかなり古い物です。
この生地製のストラップが良い雰囲気で、まさに1900年代前半のアンティークレディース時計ですね。
美しい「イリノイ」製の手巻き機械式ムーブメント。
ハミルトン買収後は、実質的にハミルトンの製造になりますので、買うならイリノイが買収される前のものもおススメですが、
このダブルネーム時代のものは、数が少ないので珍しく、コレクターもいらっしゃいます。
この時計の買取まとめ
このようなダブルネームのアンティーク時計や、生産期間が限られた、数の少ない時計は、状態が悪くともお買取が可能です。
今回お売りいただきましたこちらは、ゼンマイを巻いて動作する固体で、ケースや外見の状態があまりよくありませんでしたが、珍しいモデルにつき、お買取させていただきました。